このたび、読売新聞社のYomiuri Online 大手小町のコーナー「小町の法律相談」に、金沢法律事務所 弁護士山岸陽平 への取材に基づいた記事が掲載されました。
今回は、離婚関係の記事で、
Q.夫はテレビっ子でセックスレス、家から出ていってもらうには? というものです。
今回取り扱われているのは、持ち家に関して妻側の実質的持分が多いケースです。
Yomiuri Online 大手小町には、過去、以下の記事も掲載されていますので、ご関心に応じてご覧ください。
Kanazawa Law Office YY Bengo Note
金沢法律事務所 弁護士YYノート
このたび、読売新聞社のYomiuri Online 大手小町のコーナー「小町の法律相談」に、金沢法律事務所 弁護士山岸陽平 への取材に基づいた記事が掲載されました。
今回は、離婚関係の記事で、
Q.夫はテレビっ子でセックスレス、家から出ていってもらうには? というものです。
今回取り扱われているのは、持ち家に関して妻側の実質的持分が多いケースです。
Yomiuri Online 大手小町には、過去、以下の記事も掲載されていますので、ご関心に応じてご覧ください。
金沢法律事務所には、離婚の法律相談が比較的多く寄せられます。
ご相談の例をひとつご紹介します(この事例は、弁護士山岸陽平の経験や一般的ケースを参考に再構成したものであり、特定の事案ではありません)。
■ 私は、夫と結婚し、夫の家に入る形で、夫や夫の両親と同居していました。男の子も生まれ、順調だったのですが、夫の女性関係が発覚し、関係は一挙に悪くなり、とうとう私が息子を連れて実家に戻りました。
■ 実家に戻って、離婚をしたいという話を私の両親にしたところ、私の両親から夫の両親に伝えてくれるということになりました。ところが、私の両親が夫の両親に電話をしたら、夫の両親が「孫は跡継ぎだから返してくれ」と言い出したらしく、私の両親は怒り心頭になってしまいました。
■ それで、私自身で何とかしなければいけないと思い、夫にメールをしました。夫自身は、子どもの親権には興味はなく、離婚もしていい、と言っているのですが、夫の両親が子どもの親権は絶対に渡さないと言っているから今は無理だと言うのです。
■ 私の両親のほうは、夫から莫大な慰謝料をもらわないと気が済まない、と言い出していて、話をまとめるどころか、どんどん対立が深まっています。正直、私の手に負える状況ではなくなっていて困っています。
■ 当人同士で解決できないことを、ご親族が介入することで解決できるケースは少なくありません。ただ、ときには、双方のご親族の介入によっても問題が解決できず、むしろ解決が難しい状況に陥ることがあります。
■ そうしたとき、まずは弁護士に相談し、解決方法に関する法的アドバイスをもらうことが重要です。そのうえで、場合によっては、弁護士に依頼して、交渉や調停申立ての代理人になってもらうことが適切であることもあります。
■ 今回の相談のケースでは、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、弁護士とともに出席することで、「家と家の不毛な争い」から「当事者間の問題解決」に焦点を戻すことができそうです。
■ 弁護士に依頼することで、依頼する側が適切な法的見通しをもって動き、権利を実現できるという面もありますし、相手方も単なる感情論から脱することができるという面もあります。
■ 金沢法律事務所では、離婚問題の初回相談について、相談者から相談料をいただきません。弁護士に依頼するかどうかは、弁護士のアドバイスを参考に決めてください。もちろん、ご相談の際に依頼するかどうかを決めず、持ち帰ってじっくり考えてくださってかまいません。ご相談は、できるだけお早い段階でなさることをお勧めします。
開業からしばらく経ち、やや落ち着いてきました。
ただ、事務所の整備とか物品の買い入れがようやく一段落したというようなところであり、未処理になっている「やりたいこと・考えたいこと」は多くあります。
ウェブ上の発信もその一つで、まだ思い描いていたところまでは来ていません。
もっと相談のしやすい環境づくりを実現するため、取り組みを進めようと思っています。
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6月中旬以降、眼や目の周りの腫れ・かゆみ、鼻の奥の痛み、中耳炎、外耳炎、顎痛、頭痛、体のだるさなど、次々と出現しましたが、なんとか頑張って立ち直りつつあります。
特に5月・6月とにかくいろいろ同時並行で進めたのと、食生活がおろそかになっていたことが影響しているかなと思います。
私は、これまであまりお医者さんには行かないほうでした。自分で何とかできるのかなと思っていました。ただ、だんだんと自分でもわかってきたのですが、どうも、私が「つらい」と言い出しているときには、医学的にはけっこうひどい状態にまでなっている傾向があるようです。そういう状況になって、寝てしばらくしても治らずに我慢ができなくなってから対処をするというのは問題があるかなと思うようになってきました。
それで今回は、自分なりには「さすがにつらい」となってから早めに病院に行きましたが、それでもまだ人から見ると遅いようです。眼科も耳鼻科も、ひどさの山に達した後に行きましたので、遅いのだと思います。
自分がつらさを我慢していればいいというだけではなく、自分のパフォーマンスが十全に発揮できない他の方にご迷惑をおかけしてしまうとも思うので、今後さらに自分のメンテナンスに気を遣うようにしたいと思います。
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今日は日曜ですが、事務所の整備などで事務所に来ています。
金沢法律事務所のある香林坊・広坂・柿木畠・片町付近は、土日祝にイベント・お祭りが多いです。
ですので、9階にある事務所からそれらを眺めることができます。
今日、2016年7月24日は、柿木畠で、「第10回 柿木畠水掛け神輿」が開催されていました。


百万石通り(香林坊交差点~広坂交差点)の側でのイベントが多くて、柿木畠を行列が通るのは珍しいです。柿木畠は、地名も街の雰囲気も趣があり、いくつもいい店がありますから、より存在感が高まるとよいですね。
おそらく規定があるのだと思うのですが、金沢法律事務所の近辺では、平日は、音を出すイベントは開催されないようです。ですので、街の中ですが、平日は相談も執務も、静かな環境の中でできています。
現在、基本的にはご相談は平日にしておりますが、将来的に土日祝のご相談をするとすればどのように環境を作っていくか、課題はあるかもしれません。
金沢法律事務所、はじまりました。
香林坊交差点の近くのビルにあります。
まだまだ慌ただしいですが、だんだんと情報発信をしていきたいと思います。
事務所のウェブページは、BengoKanazawa.jpですが、内容はまだ未整備です。これから頑張ります。


相続・遺産分割に関して、非常に重要なニュースがあった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23HAW_T20C16A3CR8000/
預金の分割、大法廷が判断へ 遺産「対象外」見直しか
2016/3/23 21:15預金を他の財産と合わせて遺産分割の対象にできるかどうかが争われた審判の許可抗告審で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は23日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付した。実務では当事者の合意があれば分割の対象とするケースが主流となっており、「対象外」としてきた判例が見直される可能性がある。弁論期日は未定。
大法廷に回付されたのは、死亡した男性の遺族が、男性名義の預金約3800万円について別の遺族が受けた生前贈与などと合わせて遺産分割するよう求めた審判。
最高裁は2004年の判決などで「預金は相続によって当然に分割されるため遺産分割の対象外」としており、一審・大阪家裁と二審・大阪高裁は判例にしたがって分割を認めなかった。
しかし、遺産分割前に遺族が法定相続分の預金の払い戻しを求めても、銀行は遺族全員の同意が無ければ応じないケースが多い。家裁の調停手続きでも遺族間の合意があれば預金を遺産分割の対象に含めており、判例と実務に差が生じている。
専門家からは「預金は不動産と違って分配しやすく、遺産分割の際に遺族間の調整手段として有効」との指摘もあり、法制審議会(法相の諮問機関)の専門部会は15年4月から、遺産分割で預金をどう扱うべきかについて議論を始めている。
わかりやすい言葉で言うと、現在の最高裁判例では、
遺産の預貯金は、被相続人が死亡したときに自動的に各相続人に法定相続分で分割されるので、各相続人は、金融機関にある被相続人名義の預貯金のうちの法定相続分にあたる分を払い戻せる
のであり、
遺産分割の協議をする前でも、当然分割なので、払い戻し可能
ということである。(ただし、現在の判例でも、遺言があると話は別。)
しかし、遺産のうちで預貯金だけは遺産分割をする前に当然に分割され、遺産分割の話し合いの対象から外れる、という結論には、違和感を持つ人も多いところである。それに、ニュース記事にもあるように、金融機関は、相続人全員の印鑑のある払戻請求書、遺産分割協議書、調停調書といったものがないと払い戻しに応じてくれないことが多い(訴訟をすれば結局払い戻されるが)。
そこで、家庭裁判所での遺産分割調停でも、相続人全員の合意のもとに、預貯金を遺産分割の話し合いの対象にするという扱いを取るケースも多い。合意によって、法律の原則の適用を外すということがされているわけである。
今回、最高裁が審理を大法廷に回付したことにより、最高裁がこれまでとは別の考え方を取る可能性が出てきた。遺産にはほぼ必ず預貯金が含まれているので、ほとんどすべての相続・遺産分割にかかわってくるルールについての変更がされる可能性があるということである。
遺産分割調停においては、当然このあたりの判例を踏まえて対応しなければならないが、これからは判例変更の可能性も念頭に置きながらやっていかなければいけないと思われる。判例が変わったら、従来の判例の理論は一気に実務で使いづらくなってしまう。現在、世の中で争われている遺産分割事件にも影響がかなりありそうだ。
更新ができていません。書きたいことはちょくちょく思い浮かんでいるのですが、こういうのは習慣と意欲ですね…。
以前シリーズ化しようと思ったものもそのままですね。特に、選挙制度(投票価値)については、弁護士になる前から私なりにいろいろ調べていて、私なりにアクションを起こしたい気持ちを持って今年を迎えたのですが、これは1人で片手間では簡単なことではないですね。諦めてはいませんが。
大まかに言うと、私は、国政選挙は極力投票価値を等しくすべきであり、最大格差を無理矢理縮めて急場をしのぐという現在のやり方は論外だと思っています。都道府県など地方公共団体ごとの権利を主張して投票価値の原則の修正を図る(挙げ句にはそのための憲法改正を主張する)のも違うと思います。ちなみに、選挙制度の改正の際には、人気取りのために定数削減を言う政治家が多いですし有権者が呼応しやすいのですが、定数削減の議論が延々となされているのもおかしくて、適正な人数や制度の議論であるべきです。
他には、相続・遺言について、現在どのような制度になっているかわかりやすくご紹介したうえで、現在国会や政党で議論されている法改正についてはしっかり追っていかなければいけないと思っています。ふつうに、まっとうに生きている人が、自分で何かを引き起こしたわけでもないのに遭遇してしまう法律問題ですが、知っているか知らないかで差がつくことも多いので。
今年は、私の執務態勢が大きく変わる予定です。
2016年4月~6月上旬は新態勢の諸準備や研修受講などがあるため、新しい案件・ご相談の受任が困難です。また、私は、5月・6月は事務所にいないことがかなり多いと思います。ご迷惑をお掛けします。ご依頼中の案件は責任を持って取り組みます。
6月半ばころには金沢でバリバリ復帰する予定ですし、皆さんに知ってもらいたいと思うので、ウェブ上でも新態勢を展開していきます。
北陸新幹線は、2015年3月に東京・金沢間が開業しましたが、今後、2022年度に福井県の敦賀まで開業するということです。
しかし、その先の大阪へのルートがまだ決まっていません。
もともとの北陸新幹線の計画(1973年)では福井県の小浜を通るとされていて、そこから京都府の亀岡を通り、新大阪まで行くというふうに考えられていました。
また、それとは別に、北陸から琵琶湖東岸を通って名古屋に行くという、北陸・中京新幹線計画というものもありました(これは立ち消えに)。
その北陸新幹線の計画に基づいて小浜を通るルートを「小浜ルート」とか「若狭ルート」といいます。
「小浜ルート」の主な難点は、建設費が高いこと、建設に時間がかかりやすいこと、京都市に駅を作れないこと、名古屋へのアクセスもよくないことなどです。
そこで、別の案として、琵琶湖の西岸を通って京都駅付近で東海道新幹線に接続する「湖西ルート」や滋賀県の琵琶湖東岸の米原駅で東海道新幹線に接続する「米原ルート」が提唱されているところです。
「湖西ルート」の主な難点は、建設費が安くはないこと、強風により運行に支障が生じやすいこと、京都での接続に難があること、名古屋へのアクセスがあまりよくないこと、滋賀県がJR湖西線の第三セクター化に難色を示すことなどです。
「米原ルート」の主な難点は、JR東海の運営する東海道新幹線への乗り入れが非常に困難であること(当初は米原での乗り換え等が発生しかねないこと)、大阪・京都への速達性がやや失われることなどです。
これらの案には一長一短あり、またそれぞれの短所がなかなか厄介な問題であるところ、いずれの案にも決まらないままになっています。
そこへ、今年8月になって、JR西日本が「小浜・京都ルート」を新たに検討し始めました。
想像ですが、JR西日本としては、東海道新幹線への乗り入れや接続ということはとにかく避けたいということなのでしょう。
そして、北陸の人々にとっては、京都駅へのアクセスというのがかなり大きな要素でしたので、その意味で従来の「小浜ルート」の難点がかなり解消される案になっています。
ただ、京都駅以南の路線整備にかなりのコストがかかる(従来の小浜ルート並みかそれ以上になる)上、路線が曲がるので時短効果が薄れるというところがあります。
運営主体となるJR西日本が持ち出してきた案であり、JR東海との調整を避けられる可能性があること、京都・大阪へのアクセス重視をする人たちの意向におおむね合致すること、関西自治体の利害にも合うことなどから、最有力に急浮上してきた案であるように思われました。
さらには、京都府選出の西田参院議員も、小浜・京都ルートを前提として、関空へのアクセスについてのさらなる構想を語るなど、かなり勢いがついてきた感があります。
石川県議会は、2015年の10月に、「米原ルート」に早期決定するよう国に求める決議をしたのですが、石川県民が大阪方面に行く場合に敦賀どまりになる期間を短くしたいというところからの発想のように思えます。これは近視眼的であるといえますし、JR西日本が小浜・京都ルートを提示した後でしたので、時期外れのナンセンスなものになってしまいました。
この石川県議会の決議では、米原ルートに特定しない案も少数会派から出されており、通常はそれを先に審議するルールになっているところ、多数会派はその審議をとばしてまでも「米原ルート」を決議してしまいました。
石川県が今後、「米原ルート」を実現したいのであれば、福井県・富山県と共同歩調を取り、JR西日本やJR東海を説得することが必要でしょうが、そのようなことはまずできないでしょう。
私としては、小浜・京都ルートは妥協案ではありますが、妙案という評価ができるように思います。政治的にも「地雷」をうまく回避できており、さらに関西の意欲を引き出すことの可能な案です。福井県はもちろん前向きでしょう。それに、富山県も、現在金沢乗り換えという不都合を味わっている中で、今後敦賀乗り換え→米原乗り換えということになるよりも、再び一本で京都や大阪へ行けるようになる希望を持ちたいと思うでしょう。そして、最もカギになるのは、先ほど述べたJR西日本の意向です。
よって、今後、小浜・京都ルートへの趨勢が強まっていくでしょう。
そのような中で、北陸各県は、これまでの持論を差し置いて、小浜・京都ルートを前提とした(またはそれを強く推進させるような)動きを取ることがよいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
私はこれまで上脇義生氏の事件のことや再審請求のことを知らなかったのですが、今般の報道で初めて知り、注目しておかなければならないことであるように思ったので、私なりにまとめておきます。
上脇義生・元神戸市議は、知人の元風俗店経営者に脱税の指南をした疑いをかけられ、2008年に逮捕・起訴され、2010年6月に国税徴収法違反の罪で有罪(懲役1年6月、執行猶予3年)が確定していた。
上脇氏は、起訴後に市議を辞職したが、一貫して無実を主張していた。
元経営者の証言や元従業員の供述調書などを主な根拠にして有罪が認定されたものであった。
しかし、元経営者は、検察に誘導されて本当でない内容の調書作成に応じ、公判でも虚偽を述べたことについて、2013年夏の元経営者の執行猶予期間(5年)明け後に上脇氏に真相を告白した。
上脇氏は、2014年8月、元経営者や元従業員が詳細に真相を語った陳述書などをもとに、神戸地裁に再審を請求した。陳述書は、上脇氏に脱税の指南を受けたものではないことを述べ、なぜ上脇氏に指導を受けたかのような調書や証言になったのかについて理由を語るものであった。
神戸地裁は、2015年2月、証人尋問をすることもなく、再審請求を棄却した。それに対し、上脇氏は大阪高裁に即時抗告した。
大阪高裁は、2015年3月、元経営者に対する尋問を行うことに決めた。5月28日に行われた証人尋問では、元経営者が上脇氏の事件への無関与を具体的に述べた。7月には、上脇氏側と検察側の双方から大阪高裁に対して最終意見書が出し合われた。
そして、
捜査機関の事件の見立てが外れるケースがあるのだ、そして、関係者(特に捜査機関)はそういう可能性をよく踏まえて取り組まなければ冤罪を招いてしまうのだ、ということを改めて実感する。
捜査機関は、強力な権限や駆使できる影響力を持っているので、調べようとすること・集めようとする証拠には非常に手が届きやすい。捜査機関は、そうして集めた客観的な証拠や動かしがたい証言をもとに、事件の筋を探し当て、刑事裁判で被告人を有罪にして適正な刑を与えるため、見定めた事件の筋に沿う証拠をさらに集めて固めていくという作業をする。
人間は、過去のある時点・ある地点に行って見たいものを直接見てくるわけにはいかないので、何があったかを考える作業は、必然的に推測によるところが出てくるものである。そのこと自体は能力に限りのある人間が社会を作っていくためには致し方ない。そうした過去の出来事についての推測をする際に誤りが入り込む可能性は低くはない。特に、少人数の人間の発言やそれを書き取ったというものによる場合には、大なり小なりの誤りは入り込む。実際のところ、裁判では、少々の誤りや曖昧さについては、ほとんど無視するようにして判断が下されることもある。過去のことを100%の精度で解明・表現することはできないので、ある程度割り切って結論を示しているようなところがある。
まず問題にすべきなのは、捜査機関の見立てについて、「筋を大きく読み違えていないか」ということ、それに「信用できない証拠が混ざっていないか」ということである。
上脇氏の件で、検察は、別の可能性はないのか、仮説に合致しない証拠がないのか、冷静・公平な目で検討しながら進めることができていただろうか? 真実の可能性がある反対説が浮上したとき(当事者や関係者の誰かが反対説に基づく検討を求めたときなど)に、それに目を向けない、検討しようともしない態度を取らなかっただろうか? 捜査機関が一旦固めようとした筋に固執し、それに反する証拠を排除したり、むしろ筋に合致する証拠を無理に作っていくということをしなかっただろうか?
いわゆる「共犯者供述(証言)」に基づいて有罪に持ち込もうとする場合、そうした無理が生じやすい。しかし、裁判所は被告人の主張の排斥するための論理をパターンごとに用意しているので、単に実際のストーリーを述べ、「彼(共犯者)には虚偽を述べる動機がある」とだけ主張したところで、あっさりと主張が排斥されてしまう。上脇氏の件でも、公判の際、上脇氏は無実の主張を貫き、「共犯者」の主張のおかしさや虚偽を述べる動機についてさんざん主張しただろう。それでも有罪になるということである。
そして、一旦確定した判決を覆すというのは非常にハードルが高い中、再審請求審の神戸地裁があっさりと請求を棄却し、辛うじて大阪高裁で救われたようなものが今回の結果である(ただ、検察が最高裁に特別抗告する可能性はある。)。
元経営者の陳述書(上脇氏サイト)を読むと、裁判所が元経営者の当初の法廷証言を信じた理由がどのようなものであったのか、また、実際は信じるべき証言でなかったことがわかる。
今後、約2年以内には司法取引が導入されるけれども、弁護人が基本的には個々に勉強して取り組んでいくことになる中、捜査機関は一体になってリソースを活用して取り組むことが想定される。司法取引は、こうした経済事件で、はっきりとした証拠が残らない点について最も活用されるはずの制度であると思われる。見立てが間違っている可能性に目をつぶり、とにかく有罪という結論に持っていくためのツールとして司法取引が使われるならば、冤罪のおそれは高まってしまうだろう。
私は特段フォローしていたわけではないが、こうした訴訟があり、最近判決が出たということだ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015093000868
(時事通信)
毎日新聞に55万円賠償命令=不起訴男性の名誉毀損-東京地裁
愛知県警に偽造有印私文書行使容疑で逮捕され、不起訴処分となった東京都の介護士佃治彦さん(57)が、逮捕時の実名報道によってプライバシーを侵害されたなどとして、朝日、毎日、中日の新聞3社に計2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。阪本勝裁判長は毎日新聞に55万円の支払いを命じ、他2社への訴えは棄却した。
阪本裁判長は、3社の実名報道によるプライバシー侵害は認めなかった。一方で、毎日が逮捕容疑を「有印私文書偽造、同行使」と書いた点について「真実とは言えない」と指摘し、名誉毀損(きそん)に当たると認定した。
判決によると、佃さんは2010年2月、偽造された契約書を民事裁判で証拠として提出したとして逮捕されたが、一貫して容疑を否認。同年3月に不起訴処分となった。
毎日新聞社の話 判決内容を十分に検討の上、対応を決める。(2015/09/30-19:06)
http://www.sankei.com/affairs/news/150930/afr1509300029-n1.html
(共同通信の配信記事)
実名報道「意義大きい」 容疑誤報には賠償命じる
愛知県警に逮捕され不起訴となった佃治彦さん(57)が「実名報道で被害を受けた」などとして新聞3社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、「容疑者の氏名を公表する社会的意義は大きい」として、朝日新聞社と中日新聞社への請求を棄却した。逮捕容疑を誤って報道した毎日新聞社には、名誉を傷つけたとして55万円の支払いを命じた。
判決によると、佃さんは平成22年2月、偽造有印私文書行使容疑で逮捕されたことを3社に実名で報じられ、翌月不起訴処分となった。佃さんは、軽微な事件を実名報道する必要はないと主張したが、阪本勝裁判長は「容疑者を特定することで報道内容の真実性が担保され、捜査が適正か監視できる」と退けた。
判決後の記者会見で佃さんは控訴する方針を示した。毎日新聞は「判決を検討して対応を決めたい」、朝日新聞社広報部は「主張が認められた」、中日新聞は「妥当な判断だ」とのコメントをそれぞれ出した。
この件特有の事情もあるだろうが、それを捨象して一般論として考えると、有名でない市井の人がさほど社会的に緊急性・重大性のない事件で逮捕されたようなときに、すぐさま報道されてよいのか、という問題がありそうだ。
この問題に関しては、今回、朝日新聞社と中日新聞社への請求が棄却されたように、報道内容の真実性の担保、捜査の適正の監視、といったことを重視し、名誉毀損などの不法行為への該当を否定するのが現在の司法の主流的考え方だ。
しかし、今回、毎日新聞社への請求は一部認容された。それは、報じた被疑罪名に誤りがあったためであるようだ。
今回の間違い方のパターンだと、警察が誤った内容を報道機関に教えたというものではないし、誤りであることがはっきりしているので、毎日新聞社の記者が誤ったのだと判断しやすかったというところがあるだろう。
私の経験上、新聞報道に書かれていることが被疑事実や逮捕前後の経緯とは食い違っているということは、ときどきあることである。ただ、今回の毎日新聞のように「誤り」であることを認めないことができないようなケースばかりではない。警察が言っていることが事実を取り違えていたり、書き間違い・しゃべり間違いというようなことだったしたら、報道機関は「取材源が言っていたとおり書いただけだ」という反論をする可能性が高い。
どのような誤りがあったときに名誉棄損にあたるのか、また、報道機関側がどのような反論を提出可能なのかは、要検討だろう。
各地方で起きる刑事事件は、比較的幅広く地元紙に掲載されている。インターネットのニュースサイトに掲載されるのはそのごく一部だが、明確な選別基準があるわけではない。テレビのニュースになり、その原稿がインターネットに掲載されるという場合も多い。
新聞であれば、掲載された情報の伝播方法は、基本的に口コミである。しかし、インターネットの場合には、消さない限り発信し続けられていることになるし、コピーもしやすい。よって、報道による名誉棄損が認められるとして、地元紙の紙面だけなのか、全国紙なのか、インターネット上なのかというのは、相当重要な要素になってくるのではないだろうか。
食料品等への軽減税率導入については、一部輿論を背景に、公明党や消費者団体の後押しがあり、2013年末頃、自民党・公明党が「消費税10%増税時に軽減税率を導入する」との合意に達した経緯がある。
消費税軽減税率は、もともと、消費税の増税効果を薄めてしまうほか、対象商品の線引きが困難であること、小売業者の経理負担が増大すること、低所得者層への効果が限定的であることといった理由で、財務省や小売業団体から批判の強い政策である。
2段階の消費税率を導入するとした場合、増税効果が薄まるのは原理的に仕方ないとしても、コストが上がるのはできるだけ避けたい。そのためには、線引きをできるだけわかりやすくし、微妙なところに線を引かない(対象をかなり広げるか、かなり狭める)ということが望ましいということになる。微妙なところに線を引くと、なんとか軽減税率を適用しようとして建設的でない理屈付け合戦が始まり、軽減税率の解釈をする「産業」とそれを取り仕切るための役人が誕生してしまう契機になってしまうのではないか。私は、そのように懸念する。
しかし、与党合意のもと、消費税10%増税時に軽減税率を導入することは内定しており、制度づくりが進められてきた。
森信茂樹・中央大学大学院教授(財務省出身)は、消費税軽減税率について、かねてから厳しく批判している。給付付き税額控除を「消費税還付」という名で導入すべきという議論である。詳しくは、ダイヤモンドオンラインをご参照のこと。
給付付き税額控除に賛成する意見は、少なくない。政界でも、維新の党が主張しているし、以前は民主党の主張でもあった。
森信氏の意見は、与党が出している「生鮮食料品の8%軽減税による減収額が3400億円」というのに対応して、「世帯年収300万円未満の世帯について1人当たり一律2万円、300万円から400万円までの世帯については、その半分の1万円を給付する。ただし年金受給者と生活保護者は除く」というものである。
この場合、元になる数字は、世帯収入である。この制度のためには、世帯収入を正確に把握することが必要であり、マイナンバーが導入されればそれが可能になるという目論見である。
財務省は、政治側から「軽減税率」導入を使命とされ、制度作りを試みたものの、小売業者など現場の反発が強く、また、高コストでうまくいかないおそれが強い制度をあえて作ることに抵抗感を持ったのではないだろうか。しかし、与党は既に「軽減税率」を掲げてしまっており、行政側で「やるべきでない」とは言いにくい。
また、マイナンバーを普及させ、実質化させるということは、財務省の強い願いであり、給付付き税額控除のような制度を導入することで、個々の国民や世帯の所得データを掴みたい。この願いは、財務省の核心であり、行動力の源でもあろう。
こうして、知恵を結集させた案が、今回財務省が提案した「マイナンバー個人番号カードを通じて購入額を管理し、軽減税率分を還付する」という制度ということになる。これは、「個々の商品の税率が軽減されているという感覚を覚えるような制度」(軽減税率的)でありつつ、小売現場の経理負担を緩和し、税収減の見通しもクリアで、「マイナンバーで所得どころか消費を把握するところまで可能にし、マイナンバー個人番号カード(自動的には送られてこないカード)の普及率を一気に高める」という、”いいとこどり”の制度である。
確かに、小売現場の経理負担が緩和されることや、軽減税率の対象の論争が回避されやすいことは、メリットである。ただ、その他の部分には懸念がある。軽減税率の「メリット」として、食料品を買うたびに軽減税率の恩恵を感じる、というものがあるようで、今回提案の制度でも、対象が個々の食料品であるということに意味を持たせているようである。このような目先の「メリット」を安易に求めがちだが、本当に意味のあることなのかよく考えるべきだろう。また、国民にマイナンバーの情報流出への警戒感が強い中、中央官庁側では、このままでは住基カードと同様、個人番号カードが普及しないというおそれを持っており、この策によれば一気に個人番号カードが普及するという目論見だろう。この制度が導入されれば、個人番号カードを申請する国民が大多数になり、おそらく個人番号カードは普及するだろう。しかし、このように流されやすい国民性を利用して、十分な議論なしに、給付金をテコに情報を把握しよう(把握できる情報を増やしていこう)というのは、いいやり方だとは思えない。制度への十分な理解なしに多くの国民が個人番号カードを手にしたとき、さまざまなトラブルが起きるだろう。
非常に巧妙なやり方で、そういう意味でよく考えられているとは思うが、私は、こんな気味の悪い制度になるくらいなら、ストレートに給付付き税額控除を導入したほうがいいと思う。
財務省案への反対が大きくなれば、そのままの案では通らないという可能性もあるだろう。もっとも、財務省的には、この案がそのまま通らなくても、小売現場での2段階税率(一般的な軽減税率)導入を断念する方向になって、マイナンバーを活用する方向になれば、この案をぶち上げた成果があったと言えるだろう。