本年もよろしくお願いいたします

新年あけましておめでとうございます。

今年も、金沢市、石川県のみなさまの法律問題の解決のために取り組んでいく所存ですので、なにとぞよろしくお願いいたします。

また、昨年は、私の出身地富山県の北日本新聞に、金沢で働く富山県人として取り上げていただくなど、アイデンティティを喚起されることもありました。私のふるさと南砺市、それから砺波市といったあたりは、弁護士へのアクセスが良いとはいえませんので、今年このふるさと地域のために何かできないかな、と思っています。今のところ、私が出向いての無料相談会などを考えているのですが、何かいいアイデアや、「来てください」というお話があればお寄せ下さい!

 

昨年は、交通事故、相続、離婚、刑事事件を中心として、成年後見、事業活動上の問題、不貞関係、不動産、インターネット関係などなどといったことへも取り組みました。今年も、各分野においてさらに研鑽を進め、新しいご相談にも対応できるようにしたいと思っています。

各分野についてです。

交通事故については、昨年、複数回、自賠責保険の被害者請求の手続をしました。自賠責の後遺障害等級認定もそうですし、保険会社との交渉などを通じて思うのですが、交通事故の分野はそう一筋縄ではいかないことが多いです。私も、それぞれの案件に誠実に取り組む中で経験を積みながら、被害救済や適正な解決のためになる弁護士でいられるよう努力したいところです。

相続でいえば、引き続き、一昨年の預貯金を遺産分割対象とする最高裁判決の影響が気になるところです。今年は、弁護士として、預貯金仮払いの仮処分の代理人をする機会があるかどうか?と思っています。また、遺言作成や相続対策を税務上の観点から進めることが多い昨今ですが、高齢者の真意に沿う対策がなされているのか、立場が異なれば疑問が生じることも多いですし、それどころではなく財産の使い込みを伴うケースも散見されるようです。家庭裁判所ではなく地方裁判所に係属するケース(損害賠償請求や不当利得返還請求として)が増えているという話も聞きます。

また、相続に関連する分野として、高齢者問題がありますが、成年後見や財産管理、消費者被害・詐欺被害、介護や医療など、広がりの大きい分野ですので、さらなる勉強をしていきたいと思っていますし、取得した社会福祉士資格を活かしてつながりの構築を進めていきたいと思っています。

離婚については、一般論として、子どもの引っ張り合いにおける子どもの思いを考えたいと思います。意外と、今後、IT、ICT技術のさらなる進化が子どもの問題を含む離婚においては重要になってくるのではないかと思うのですが、新しい技術の取り入れや隣接分野との融合に積極的な医療福祉分野に比べ、裁判所での解決においてはしばらくは「相変わらず」な状況が続くような気がしています。養育費についての強制執行がしやすい法制度への改正が検討されていますが、養育への関与という意味合いでは、まだまだ部分的な改正に過ぎません。法律家も情報技術に背中を押されるように、場所的な離隔を乗り越えたやり方を当然のように取る時代がくるような気がしています(これは今年の話ではないです。が、今結ぶ約束が10年、20年後にスタンダードなのかはすごく疑問です。)。

刑事事件は、今年6月ころから、勾留された被疑者は、罪の重さにかかわらず被疑者国選弁護の対象になります。これまでは、懲役3年を超える法定刑の罪名が対象でしたが、これが変わります。これは、弁護士の仕事にも、刑事事件に関係する方々にも影響してきます。

などなど、思うままに書き連ねましたが、各分野に関して、法律的な面もそうですが、それにとどまらず、いろいろなことを考えていきたいと思います。

※ ちなみに、趣味的なことでは、選挙制度についてさらに考えてみたいと思っています(改憲案における、参議院合区問題についても…)。また、主権者教育や情報リテラシー教育について、考えを深めたい一年です! (「裁判員裁判」主体の法教育よりも、です。)

当事務所:土日祝日の刑事弁護態勢

土曜・日曜・祝日の刑事弁護のご依頼について

当事務所(金沢法律事務所、弁護士山岸陽平、金沢弁護士会所属)は、弁護士1名の事務所です。石川県内の他の法律事務所と同様、土曜・日曜・祝日を定休としております。

しかし、土曜・日曜・祝日においても、石川県(特に金沢市)付近で逮捕や勾留された方のご親族などからご要請があれば、私選弁護のお引き受けをできる場合がありますので、そうしたご事情がおありの方は、金沢法律事務所の電話(076-208-3227)にお電話をお願いします。

※ 転送対応ですので、都合により電話に出られないことがあります。また、非通知または携帯電話からの折り返し電話をする場合もあります。その日ごとの事情により、対応できないこともありますので、ご了承下さい。

年末年始につきましても、できるだけ対応します。

費用は事案によりますが、こちら(当事務所ウェブページ)を参考になさって下さい。

※ 距離との兼ね合いで、当事務所で対応しやすいのは、石川県内では、金沢中警察署、金沢東警察署、金沢西警察署(以上、金沢市)、白山警察署(白山市・野々市市)、寺井警察署(能美市・川北町)、小松警察署(小松市)、津幡警察署(かほく市・津幡町・内灘町)、羽咋警察署(羽咋市・志賀町・宝達志水町)。富山県内では、砺波警察署(砺波市)、南砺警察署(南砺市)、小矢部警察署(小矢部市)、高岡警察署(高岡市・射水市一部)。というあたりですが、それ以外の警察署の案件にも対応できることがあります。

※ 勾留された人(被疑者)は裁判所に国選弁護人の選任を求めることができる場合もあります(詐欺、傷害、窃盗、強盗、恐喝、強制わいせつ、自動車運転致傷、違法薬物使用等は被疑者国選対象です。住居侵入、暴行、脅迫、器物損壊等は被疑者国選対象ではありません。)。いずれにしても、逮捕直後(1~3日間程度)の段階では国選弁護人は選任されません。

 

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日本の司法インフラ、デジタル化の遅れについて

今日(2017年12月18日)の日経新聞に、「日本の司法インフラ 弁護士「不満」94% 審理スピードやデジタル化遅れ」というタイトルの記事が掲載されていた。

「日本の司法インフラの使い勝手が良いと思うか」を日経新聞が企業やビジネス系の弁護士に尋ねたところ、弁護士の94%(111人)と企業の61%(118社)が「思わない」と回答したということである。

「使い勝手が良いと思わない」理由の上位は、「審理のスピード」、「ディスカバリーがない」、「損害賠償金額が少ない」、「電磁的方法による文書提出が原則認められていない」、「判例や裁判記録がほとんどデータ化されていない」、「裁判官の質」ということである。

企業においては、特に、「審理のスピード」への不満が強いようだ。

また、諸外国と比べて電子化が遅れているという指摘は、近時かなりなされているところである。電子化と審理スピードの問題は、関連が深いだろう。

東京においては、2021年にも、中目黒に、ビジネス関係訴訟(知財高裁、東京地裁知財部・商事部・破産再生部)などを専門的に扱う裁判所庁舎が設置され、テレビ会議システムを整備するというが、まだまだ道半ばである。特許など知財事件では、通常弁護士同士は紙で証拠を送り合うところ、相互了解のもとに電子データで送り合うこともあるようであるが、他の事件類型ではなかなかそうはいかない。そういうレベルで他の業界と比べてかなり遅れて改善してきている状況である。

裁判システムの効率の悪さ、遅さを指摘する声は、東京に本社や支社のある大企業に限らない。相応の時間をかけて感情を解きほぐして、解決のタイミングを待つ必要のあるような話ではないのであれば、集中的に取り組む労力や費用をかけても早く解決したいということも多い。

裁判所に持ち込む案件に関しては、時間を掛けて双方当事者や代理人弁護士において検討し、また裁判所側も提出された記録をじっくり吟味し、双方の言い分に提出し漏らしがないように配慮して進めているため、このようになっている面もあるだろう。しかし、紛争の当事者双方が早期解決を望んでいるような案件において、システムや専門家がそれに対応できないがために紛争解決機関としての役割を十分果たせていないとすれば大問題だろう。

ビジネスでの電子メールの誤送信にも通じる問題だが、安全性や秘密性との兼ね合いはある。しかし、「課題が多いからやらない」というのではなく、早く課題に向き合って取り組んでいかなければならないのではないか。

弁護士など専門家の仕事の仕方への影響も大きく、積極的に対応しようとする人、あえてしない人、消極的に動く人に分かれそうではあるので、弁護士一丸となって推進することは簡単ではないだろうが、弁護士も動きを起こしていきたいところである。

FC2アダルト 著作権侵害の損害賠償請求

過去「FC2アダルト」にアダルト映像をアップロードし、不法行為(著作権侵害)に基づく損害賠償請求訴訟を受けるということが最近あるらしく、当方でも訴訟を受任している件がある。

株式会社WILL、株式会社CAという、いわゆるDMM.comのグループ会社が、アダルトDVDの著作権を侵害されたとして、請求を行っているということだ。請求金額は少額ではないことが多いよう。DMM.comでの販売額で計算を行った上で、一部請求として数百万円の訴訟を提起されたケースがある。

FC2アダルトが、映像製作会社に対し、投稿者情報を開示したということで、それに基づいて大規模な請求が行われているものとみられる。

何らかの著作権侵害は認められる可能性があるとは思われるところだが、いかなる映像がアップロードされていたのか等正確にわからないという場合には侵害の事実があやふやであるし、損害額については大きな争点となるところだろう。こうした問題は、アダルト系のトラブルという恥ずかしさの前におかしな解決をしてしまうのではなく、むしろ双方の意見を出し合い、裁判所の場で解決に至ることがよりよいのではないかと思われる。

当方は、石川県の法律事務所(弁護士)であるが、すでに同種の件を受任していることもあり、判決例などを収集しながら相当程度検討をして進めているので、遠方の方の件の受任も条件やご事情次第で可能かと思われる。

また、その他、弁護士の方も含め、この件に関し情報のご提供をいただけるとありがたいという気持ちもある。よろしくお願いします。

空文化する憲法53条 ~国会召集をめぐって~

臨時国会冒頭解散?

NHKを含む各メディアによると、安倍首相は、2017年(平成29年)9月28日から始まる臨時国会で、所信表明を行わずに衆議院を解散するという。

正確に言えば、天皇が内閣の助言と承認により、衆議院を解散するということであるが、その内閣の助言と承認については、内閣の首長である安倍内閣総理大臣が実質的な権限を行使するということである。

今回の解散についての政治的な部分の解説は、東洋経済ONLINEの泉宏氏のコラム(安倍首相、「冒頭解散」で10.22選挙に突入か ネーミングは「出直し」より「モリカケ隠し」?)にバランスよくまとまっているので、さしあたりそちらを参照していただければよいと思われる。

過去の臨時国会召集要求「不対応」例との比較

ところで、2017年(平成29年)6月22日、衆議院と参議院の両方において、各議員から臨時国会召集の要求書が提出された。これは、憲法53条に基づくものである。憲法53条は次のとおり定める。

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

報道によれば、この召集要求があった例は、2015年10月21日の要求で37回目とのことである()。今回は、その次なので、38回目ということだろう。

南野森九州大学教授のコラムによると、衆参両院で要求があったケースは、2015年10月21日の要求で27回目であり、衆議院のみの要求が過去7ないし8回、参議院のみの要求が過去2回ということである()。

過去、要求があったのに国会が開かれなかったのは、2003年11月27日要求(第二次小泉内閣)、2005年11月1日要求(第三次小泉内閣)、2015年10月21日要求(第三次安倍内閣)である。要するに、内閣が要求を受けても開催しなくてもいいという態度を取り始めたのは、今世紀に入ってからである。これらに関し、各内閣は、翌年1月に見込まれる通常国会の召集をすることで足りるというスタンスを取っていた。

南野教授によれば、2003年と2005年は11月に入っての要求であり、要求直前まで特別国会(すなわち同年度2つめ以降の国会)が開かれていたから、10月に要求があったのに結局臨時国会は開かず通常国会だけしか開かなかった2015年の不開催が最たる憲法違反だということだ。

そして、今回、通常国会が早めに閉じられたこともあり、6月22日と要求は早かった。その要求に対し、安倍内閣は、3か月以上(98日)先の9月28日を召集日とした。確かに、今回は、引っ張るだけ引っ張ったが、形式的には臨時国会を開催したことになる。すなわち、今回は4例目の不開催事例とはならない。

憲法の要請に反する冒頭解散

冒頭解散自体は、憲法違反ではないし、それだけで政治的にも不当というわけでもない。

過去、「冒頭解散」が行われたのは、以下の3例である。

1966年12月27日(第54回通常国会)佐藤内閣 「黒い霧解散」
1986年6月2日(第105回臨時国会)第二次中曽根内閣 「死んだふり解散」
1996年9月27日(第137回臨時国会)橋本内閣

これらのうち、衆議院召集要求があったのは、1996年のみである。1986年は参議院の召集要求はあったが、参議院はなかったようである。

1966年は、通常国会である。このころは、1月ではなく、12月やそれ以前に通常国会を召集して越年させていた。12月20日まで臨時国会を開いており、立て続けに通常国会を開いたところで解散した。

1986年は、5月22日まで通常国会が開かれていたところ、中曽根内閣が意表をついてその直後に臨時国会を召集し、議長応接室で詔書を読み上げ、抜き打ち的に解散した。自民党が参議院で召集を求めていた。

1996年は、6月19日までの国会で新進党の戦術が功を奏さず、また与党側の社民党・さきがけの再編問題があった。新進党議員が両院の召集を求めていた。

今回は、少数側の議員から臨時国会召集の要求があり、憲法の要請に基づき、議会での実質的議論が求められる状況である。

1996年橋本内閣との差異は?

1996年橋本内閣でも、臨時国会の召集要求があったが、所信表明演説なしに冒頭解散がされた。その点は今回と同様に見えるが、実質的な差異はあるか?

それは、内閣が、その方針のもと、相応の期間仕事をした上での解散であったか否かの点である。第一次橋本内閣は、1996年1月11日にスタートし、改造なしで解散を迎えている。他方、第三次安倍内閣は、2017年6月18日の通常国会閉会後である8月3日に第三次改造という大規模改造をしている。改造前の話題などとの関係で、野田総務大臣、河野外務大臣、林文部科学大臣、小野寺防衛大臣などが注目されている。

今回は、改造後、国会の論戦を経ていないし、国会で方針さえも示されていない。

仮に、いま、議会での議論はひとまず置いて選挙をしなければならないとしても、今回は、少なくとも、議論を整理し、政府から方針を提示し、与野党のスタンスを示すことが極めて望ましい。

ところが、現状において所信表明演説をせずに解散すれば、それらの要請に実質的には何ら応えていないことになる。これが国民のためといえるかどうか。

そして、

  1. 臨時国会の召集に長く応じず、
  2. 召集して直ちに冒頭解散をすることで、
  3. 国会で当該内閣の方針を示さないまま選挙をすることで、

またもや憲法53条の抜け道のような前例が作られ、同条の趣旨がいっそう軽んじられるのではないか。そして、現在の内閣の方針が国会で示されず、国会という公式の場で各党のスタンスが示される機会が持たれないことにより、国民が選挙における選択基準や選択のための要素を公的に知ることができなくなるという懸念がある(各メディアでイレギュラーな形でなされるのも確かだが、正式な場が省略されるべきではない)。

余談・・・国会を開いても?・・・

現状の国会は、国政調査権が国民のために真に活用されているか、また、行政やその背景にいる与党において議院による調査に真摯に協力しているか疑問の大きい状況になっている。

巷間、国会を開いても意味がない、という論調が強い。

それは、裏返して言えば、いい加減にやり過ごしていてもなんとかなってしまう現状があるからだ。それでも、それが現実だから仕方ないというのではなく、よくする試みはしていきたい。流されず踏みとどまる主権者でありたい。

社会福祉士・基礎研修1を受講しました

社会福祉士資格を取得し、石川県社会福祉士会に入会した私は、先日、「基礎研修1」の1日目を受講しました。

社会福祉士会では、社会福祉士の能力担保・地位向上などのため、生涯研修制度を導入しており、基礎研修は、社会福祉士誰もが受けるべき基本的内容とされています。

とはいえ、私は、興味が社会福祉行財政や社会福祉経営論のほうにも向かっており(もともと大学時のゼミが政治過程論だったりして、先祖返りのようなところもありますが)、こういう分野は研修でなんとかなるとはいえないので、自主的な勉強もさらに深めなければと思います。

公文書管理、情報公開は重要である

昨今の国政の問題について、ここでは個別に議論しない。しかし、いずれも、どのような過程で情報が動き、決定がされたのかについて、「記録が残っていない」という言い方がされ、さらには記憶も語られず、事案の解明がなされないということが問題になっている。

国会が国政調査権を背景に調査しようとしても、政府は、情報がない・出さない、という対応に終始し、ついには、刑事裁判のルールを持ち出して「有罪であると主張する側に立証責任がある」という言い方をする政治家もいる。

そして、自分の身を賭す覚悟の者がいるかいないか、世論が盛り上がるか否か、選挙に影響があるか否か、というところで、問題解明の是非が大きく左右されてしまう。また、大臣が辞めるなどして世論の溜飲が下がれば(ガス抜きに成功すれば)真相解明はなされないことも多い。

マスコミも世論を背景にいい仕事をする場合もあるが、おかしな「一時的世論」を作り出し、乱暴な沙汰を招くこともある。

リアルタイムで公開すると行政運営に支障が出るということがあり同時代での公開が困難なものがあるとしても歴史的評価は受けるべきだ。将来の目を意識することで行政の正当性確保にも資する。

国民は、地味であっても、行政の正当性確保の取り組みをしっかり評価していかなければならない。

と、いうことで、公文書管理、情報公開の重要性に再度目が向くことに期待したい。公文書管理法は自民党政権で作られたものであるが、もう一度その意義に立ち戻ってほしい。

参考:

https://www.jimin.jp/aboutus/history/prime_minister/100316.html

第22代 福田 康夫

福田総裁時代

「公文書管理法」(後に麻生内閣で成立)は、公文書の保有はもちろん、政治や行政がいかなる経緯で実行されたのかを知ることは国民の当然の権利であり、民主主義の基本要件であるとの信念のもと、果断に立法準備を進めたのです。

憲法保障の重要性。憲法裁判所とは?

憲法で大切なのは憲法保障

自民党総裁(内閣総理大臣)が、今秋の臨時国会中に自民党の憲法改正案を衆参両院の憲法審査会に提出したい、そして、国民投票での可決を経て2020年に改正憲法の施行を目指したいとしています。

2018年9月に自民党総裁の任期満了、2018年12月に衆議院の任期満了、2019年夏に参議院の任期満了があるため、自民党の一部では、2018年か2019年の国民投票であれば国政選挙との同時実施を検討している向きもあるようです。国政選挙に適用される公職選挙法上の「選挙運動」規制と日本国憲法の改正手続に関する法律上の「国民投票運動」規制が全く異なるため、同日投票を行うとすれば収拾がつきにくくなると思われますが、同日投票の可能性を示すこと自体が政治的な意味を有する状況でありますので、昨今の政治の進め方からすれば、勢いで同日投票になだれ込む可能性もあるでしょう。

それはともかく、2012年12月の再政権交代以降(特に2015年から2016年の「平和安全法制」の審議を機とした民共接近後)の憲法をめぐる論議は、9条・安保体制の是非、第二次世界大戦直後の日本国憲法制定の是非、という論点がほとんどを占めているように思います。すくなくとも、国政選挙においてマスメディアが憲法を取り上げるのは、ほとんどこの文脈に限定されています。

さらには、昨今の自民党総裁やその周辺の人たちの発言によれば、憲法9条に3項を設けるか、憲法9条の2を設けるなどして、早く自衛隊の違憲性の疑義を解消するために憲法改正をしたい、ということのようです。

しかし、私は、初めての憲法改正にあたっては、憲法の役割に立ち戻った議論がなされるべきだと思っています。私が重視する憲法の役割というのは、憲法保障、特に、憲法に違反する立法行為や行政行為などを無効にすることができる違憲審査です。立法行為を無効にするということは、国会の多数決で決まった法律であっても、憲法に違反していれば、無効にできるということです。

多数決により法律が作られ、少数派になってしまった人たちの意見が通らないことがあります。それは、民主主義のルールではあります。しかし、常に多数の人の意見が絶対的通ってしまっては、少数派の基本的権利が侵害されてしまいます。それを食い止めるのが、法律を無効にする力を持つ憲法ということになります。

立法府への国民による議員の送り出し方、国政に関する情報の行き渡らせ方、国民の間での議論の仕方、などなど、さまざまな要素があるでしょうが、多面的に、そして深く熟した議論がなされずに、法律ができるということがしばしばあるように思われます。そうしたときには、法律により基本的な権利やそれに類するものが侵害される国民が出てくるおそれがあります。

日本国憲法における違憲審査の仕組み

現在の日本国憲法は、81条に最高裁判所の法令審査権を規定しています。次の条文です。

第八十一条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

現在の憲法は、この程度の規定ですので、どのような場合に裁判所が「憲法違反であるか否か」を審理してよいのか、明確に定められているとはいえません。しかし、我が国の憲法学説上、日本国憲法は、具体的な訴訟事件の解決にあたって必要な範囲で憲法に関する争点について判断をすることができるのだと言われています。このような仕組みを付随的違憲審査制と言います。具体的事件に付随した違憲審査という意味です。

具体的事件に付随しなくても、法律などの憲法違反を裁判所が判断できるようにしている国もあります。この仕組みを抽象的違憲審査制と言います。

付随的違憲審査制の論拠となるのは、議会と裁判所の民主的基盤の差(議会は選挙によって選ばれた議員により構成される)、裁判所の客観性・公正さ・信頼の維持というところです。また、行政がスムーズに進むことを重視する価値判断もあると思われます。

また、付随的違憲審査制のもとでは、違憲判決の効力は、当該事件に限って法令の適用が排除されるもの(個別的効力説)であるというのが通説(定説)とされています。

私の意見(憲法裁判所の設置を検討すべきである)

以下、現在の私の意見です。

確かに、付随的違憲審査制の論拠にも一理あると思います。しかし、現在は、地方議会による条例を含め、立法に対して、それが国民いずれかの基本的権利を侵害するものではないか、チェックが十分働いていないと思っています。付随的違憲審査制でも、具体的な事件においては違憲立法であるとの主張ができるので救済可能性があると謳われていますが、実際には個々人がそのような争いをしにくく、救済可能性が損なわれているのが実情です。また、具体的事件において主張をしても、違憲審査に至る前に争点回避されたり門前払いされるということになりやすくなっています。その結果、本来的に合憲性に疑義のある法律・条例・行政行為などが維持されてしまうわけです。

そこで、私は、憲法裁判所の設置について真剣に検討すべきだと思っています。

憲法裁判所は、ドイツ、イタリア、フランスなどで導入されている制度ですが、具体的事件を前提とせず、政府(連邦政府・州政府)、一定数以上の議会議員等の提訴によって法律等の合憲性を審査する抽象的違憲統制の仕組みを有しています。また、特に、ドイツの憲法裁判所では、憲法訴願と言って、基本権を侵害された個人が、通常裁判所による救済の手段が尽くされたことを前提として、憲法裁判所に対して異議申立てを行い、救済を求めることができます。

長年改正されなかった憲法を改正しようとするときの、政治家主導ではない国民的議論としては、このテーマがふさわしいと私は思っています。

著作権に関する講演を聴講しました

著作権(知的財産権)の講演

先日、金沢弁護士会館に、早稲田大学の上野達弘教授が来訪され、著作権訴訟における立証について講演をされましたので、聴講いたしました。

著作権の分野では、インターネットやボーダーレスの時代を反映して、新しく重要な裁判例が年々出され続けているということが実感できました。

著作権法は、著作物の定義として、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定めていますので、実用品のデザインについては、美術の範囲に属しないとして原則として著作物性が否定されてきました。

また、今の時代、高い付加価値のつく商品は、デザインに特筆すべき点があることが多いと思われます。分野にもよりますが、むしろ、そこで勝負しないと、他者とのちがいを出せず、高い価値がつかないことが多いこともあるでしょう。

そうしたときに、著作権法が実用目的の応用美術の「表現」を保護するかどうかが重要な鍵になってきます。

これに関しては、最近の判決例である知財高判平成26年8月28日判時2238号91頁(ファッションショー事件控訴審判決)、知財高判平成27年4月14日判時2267号91頁(TRIPP TRAPP事件控訴審判決)の紹介を受けました。

学説上もまだ熾烈な議論があるようですが、現在の判決例の趨勢からは、創作性や美的な個性を立証することによって、実用目的の応用美術も、著作権上の権利保護を受けられる可能性があると思われます。

建築の著作物

講演では話題にならなかったのですが、実用目的の応用美術の関係で、私は、建築物の著作権について気にかかりました。

建築については、著作権法10条1項5号で「建築の著作物」が列挙されていますが、実際には建築設計図が同6号の「図面の著作物」で保護されやすい一方で、一般的な建築物そのものが著作権法により保護される例は乏しいようです。大阪高判平成16年9月29日(積水ハウスのグルニエ・ダイン事件)も、グッドデザイン賞を受賞した高級注文住宅のモデルハウスでありながら、著作権法上の保護の対象となるべき美術性・芸術性はないとしました。

近時の東京地判平成29年4月27日(ステラ・マッカートニー青山事件)でも、個性的ともいえる建物の柄の配置について、原告が建築の著作物についての主張をしましたが、要旨、「アイデアであって表現に該当しない」、「表現に該当しても個性の発露があると認めるに足りる程度の創作性がない」、「具体的な配置や配列の提案までなされておらず、観念的な建築物が現されていると認めるに足りる程度の表現であるともいえない」という理由で、建築の著作物性は否定されています。

建築の分野では、建築芸術や土木芸術といいうるような創作性が必要としてきた旧来の考え方がまだ強いといえます。

しかし、建築の分野でも、作る・建てる技術が普及すると、デザインの保護が重要になるのは家具に近いところがあると、私には思えるのです。こうしたことについては、今後も考え、取り組んでいきたいと思っています。

【今後の抱負】社会福祉士試験に合格しました

このたび、社会福祉士国家試験に合格しました。

弁護士が携わる問題には、随所に「社会福祉」が関わってきます。特に、成年後見など高齢者障害者についての問題、子どもの問題などにおいてです。しかし、弁護士になるまでの勉強では、社会福祉の制度・歴史・考え方・現状を専門的に学ぶわけではありません。実務を通じて知ること・必要に応じて勉強することが多かったわけです。ある程度まとまった形で勉強をしたいと思い、レポート学習や試験勉強に取り組んでいました。

福祉施設での実習(フルタイム23日間)や演習では、高齢者などサービス利用者との面接技法やケアプランを学びました。特に、実習は、前の勤務先を退職して新事務所を設立するタイミングと同時並行でやっていたので、かなり大変でしたが、価値ある経験になりました。弁護士としての仕事の中でも活かしたいと思っています。

社会福祉士の資格者だけができる「独占業務」はありません。一般的には、福祉施設・社会福祉協議会・行政・病院などで働く方が取得する「プラスアルファ」の資格として考えられていますが、活かし方にはバリエーションがあります。

私は、今後も、仕事の軸足は「弁護士」に置き、一般的な訴訟や会社法務も含め、引き続き取り組んでいきます。成年後見など高齢者にかかわる仕事にはさらに力を入れていきます。その中で、社会福祉の知識や技能を取り入れていきたいと思っています。社会福祉の分野に限らずですが、さらに勉強の範囲を広げ、深めていきたいと思います。

社会福祉のあり方は社会にあり方そのものに直結します。日本では、社会のあり方や制度についての議論が足りないまま、仕組みが作られることが多いと思っています。知識を弁護士としての個々の業務に活かすだけではなく、社会のあり方、公の制度のあり方について発言をし続けていけるよう、努力を重ねていきたいと思います。