震災で気持ちが波打つ1か月でした(直接的に私に被害があったわけではありません)。
専門家として何ができるのか?という不安な気持ちが強くあり、なかなか動けませんでしたが、熊本の震災など過去の災害にたずさわってきた弁護士の研修を見て、やる気が出てきたところです。
研修動画の中で「ADR」という言葉が何度も出てきますが、私は2016年度~2019年度の金沢弁護士会(石川県全体の弁護士会)のADR(紛争解決センター運営)委員会の委員長だったのでした。ADRは、裁判外での紛争解決手続のことで、裁判したくないけれど、話し合って解決したい、という調停・仲裁手続です。
ふつうの民事事件では、裁判所の民事調停のほうが使いやすいのではないか?とよく言われますが、これまでも災害時には、ADRが大いに活用されてきました。特に、東日本大震災のときの仙台弁護士会、熊本震災のときの熊本弁護士会。
能登の震災では、隣同士の問題も多く生じていると思いますので、ADRの活用が重要になってくると思います。
災害ADRは申立手数料がかからないというのもポイントです。
これまで金沢弁護士会ではADRの活用は低調だったので、態勢十分ともいえません。弁護士においても、ここから急速な取り組み強化が必要だろうなと思います。
研修の動画を見ていて、私のできることは、
①弁護士会でのこの災害ADRの活用に力を使うこと
②弁護士会の枠以外でもじっくりと傾聴や寄り添いの中で助力していくこと
だと思いました。
法律相談、という側面においては、特に、能登の人は、遠慮しがちで、自分のことを話し慣れていないと思うので、一般的な法律相談のように、急に「相談したいことは何?」というのでは、実際のことが適切に把握できず、本当に相談したいことが聞けないようにも思います。
金沢から能登までの距離・移動時間の大きさが問題です。法律相談の問題だけに限らず、これをどう実質的に縮めていくかということを考えていかなければいけません。
前々から、「法律相談」を核心におきながらも、その人や家族の全体像を見据えることが本来は重要だと思っていました。
そうは言っても、とても難しいことではあるのですが、震災に関する問題解決の中では、少しずつでも、その方向に進みたいと思っています。
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