楽天・田中将大 ヤンキースと7年契約

楽天・田中将大 ヤンキースと7年契約

大リーグへの移籍を目指していたプロ野球・楽天の田中将大投手が、ヤンキースと7年契約を結びました。
契約の詳細は明らかにしていませんが、アメリカのメディアは年俸の総額は1億5500万ドル(日本円でおよそ161億5000万円)に上ると伝えています。

田中投手は先月、楽天に大リーグ挑戦の希望を伝えました。
それを認めた楽天は、先月25日にポスティングシステムの利用を申請し、日本時間の25日の朝まで、獲得を希望するすべての球団と交渉できることになっていました。
交渉の最終週を迎えてアメリカのメディアは、ヤンキースやドジャースなど5球団ほどが大詰めの交渉を行っていると伝えていましたが、期限まであと2日に迫った22日、ヤンキースが田中投手と7年契約を結んだと発表しました。
ヤンキースによりますと、この契約には、4年後、2017年のシーズン終了後に、田中投手側が残り3年の契約を続けるかどうかの選択権が設定されているということです。
このほかの契約の詳細についてヤンキースは明らかにしていませんが、アメリカのメディアは、7年間の年俸の総額は1億5500万ドル(日本円でおよそ161億5000万円)に上ると伝えています。
1年平均の年俸は2200万ドル余りとなり、これまで日本選手で最高だったイチロー選手が2008年にマリナーズと結んだ際の5年で総額9000万ドル、1年平均で1800万ドルを大幅に上回り、日本選手最高年俸となります。
田中投手は23日、みずから契約の理由などについて説明する予定だということです。

高い年俸の背景は

年俸が高騰した背景には、先月スタートした新しい「ポスティングシステム」の存在があります。
松坂大輔投手やダルビッシュ有投手が大リーグに移籍した際に利用した、以前の「ポスティングシステム」では、交渉できる球団を1つに絞る入札が最初に行われたため、日本の所属球団に支払われる入札金が高騰し、その分、選手に支払われる年俸が抑えられました。
ダルビッシュ投手が2年前にレンジャーズに移籍した際は、入札金は5170万ドルでしたが、6年契約の年俸の総額は6100万ドル、1年平均で1000万ドル余りでした。
これに対し、今回の「ポスティングシステム」では制度が大幅に変更され、2000万ドルを上限に日本の球団が設定した譲渡金を支払う意思のある球団は、自由に選手と交渉ができるようになり、譲渡金を除けばフリーエージェントと変わらない制度へと様変わりしました。
このため、田中投手の獲得を目指したヤンキースやドジャースなどの資金力のある球団が契約条件で競い合い、年俸がつり上がる大きな要因になったとみられます。
また、このシーズンオフにフリーエージェントになった大物投手が少なかったことも、年俸が高騰した理由の1つに挙げられます。
大リーグでは、このところフリーエージェントの選手が大型の長期契約を結ぶケースが増えていますが、このオフは先発の1番手や2番手を担えるような実績と、長期契約に値する将来性を兼ね備えた投手がいませんでした。
このため、アメリカのメディアの多くは、日本での実績と25歳という若さを併せ持つ田中投手を、このオフの移籍市場で最大の注目投手と位置づけていました。
さらに、大リーグでの日本人の先発投手の活躍も、田中投手の価値を高めた要因の1つです。
去年、ダルビッシュ投手は13勝9敗でアメリカンリーグの最多奪三振のタイトルを獲得し、マリナーズの岩隈久志投手は14勝6敗の成績を上げ、ダルビッシュ投手と共にサイ・ヤング賞の最終候補に名を連ねました。
また、ヤンキースの黒田博樹投手もエースとして活躍しました。
日本で実績を挙げて大リーグに移籍した日本人投手が、ここ数年相次いで好成績を残していることが、去年日本で24勝負けなしの記録を作った田中投手の高い評価につながりました。

契約内容も大元の制度(ルール)に依存する

今回、ポスティング制度が改正され、アメリカの球団が日本の球団に支払う額(入札額)に上限額2000万ドル(20億円程度)が設定された。そして、複数球団が最高額入札した場合、それら複数球団が選手と交渉できるようになった。ポスティング入札額を日本の球団に支払うのは、選手と契約した球団である。

これまでは、最高額制限はなくて、最高額入札球団(1球団)は、選手との契約に漕ぎ着けた場合、その入札額を日本の球団に支払うという仕組みだった。

「日本の意思決定が遅かった」などと言われ、新しい案を提示されてしまい、それを呑まざるをえなくなったとき、「日本の交渉力のなさ、アメリカのしたたかさ」だという受け止め方もあった。確かにそうした面もあるが、日本人選手にとっては有利な改正ともいえた。

田中将大のような超目玉選手の場合、2000万ドル以上支払う価値があることは確実なので、最高額2000万ドルで入札する球団は複数出る。そうすると、田中としてはその先、複数の球団と交渉できる。岩隈のポスティングのときのように、ポスティングで落札した球団がその後の契約(年俸)交渉で渋り、結局契約できないというリスクが激減する。複数の球団が控えていれば、移籍希望選手はそのようなしょっぱい球団を相手にする必要はなく、よりよい契約内容を提示してきた球団と契約を結べるからだ。

こうして、新ポスティングシステムでは、選手とMLB球団との間の契約内容は、大きなものになっていきやすい。今回、田中とヤンキースの契約が7年1億5500万ドルになった(1年あたり2000万ドル超え)というのは、こうした制度変更によるものと考えられる。旧ポスティングだと、ポスティング金が1億ドルになったかもしれないがそのぶん田中との契約は1年1000万ドル程度になったのではないか。また、破談の可能性もあったのではないか。

そうすると、なんだかんだと言われたが、田中個人にとっては、今回の制度変更はいい方に作用したということになるだろう。

楽天イーグルスは、受け取れるかもしれなかったポスティング金を受け取れなかったことになる。私は、この球団を応援しているので、戦力流出と補強について気になるところではある。昨シーズン活躍したケーシー・マギーはMLBのフロリダ・マーリンズに移籍し、その代役としてケビン・ユーキリスという大物を獲得したが、田中の代役候補が用意されたとは言いがたい。もしポスティング金がガッツリ入ってきたら、FA市場で大竹とかを獲得していたのだろうか…?(まぁ、大竹ではなぁという気もするが)

田中と楽天球団の間で、何らかの寄付をするというような報道があった後、契約高騰を抑えたいMLBから警告が入ったが、現実的に田中から球場改修費等が出たりするのだろうか。すぐには動きがないだろうが今後注目していきたい。

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山岸 陽平
金沢法律事務所(石川県金沢市)を主宰する弁護士

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