日本の司法インフラ、デジタル化の遅れについて

今日(2017年12月18日)の日経新聞に、「日本の司法インフラ 弁護士「不満」94% 審理スピードやデジタル化遅れ」というタイトルの記事が掲載されていた。

「日本の司法インフラの使い勝手が良いと思うか」を日経新聞が企業やビジネス系の弁護士に尋ねたところ、弁護士の94%(111人)と企業の61%(118社)が「思わない」と回答したということである。

「使い勝手が良いと思わない」理由の上位は、「審理のスピード」、「ディスカバリーがない」、「損害賠償金額が少ない」、「電磁的方法による文書提出が原則認められていない」、「判例や裁判記録がほとんどデータ化されていない」、「裁判官の質」ということである。

企業においては、特に、「審理のスピード」への不満が強いようだ。

また、諸外国と比べて電子化が遅れているという指摘は、近時かなりなされているところである。電子化と審理スピードの問題は、関連が深いだろう。

東京においては、2021年にも、中目黒に、ビジネス関係訴訟(知財高裁、東京地裁知財部・商事部・破産再生部)などを専門的に扱う裁判所庁舎が設置され、テレビ会議システムを整備するというが、まだまだ道半ばである。特許など知財事件では、通常弁護士同士は紙で証拠を送り合うところ、相互了解のもとに電子データで送り合うこともあるようであるが、他の事件類型ではなかなかそうはいかない。そういうレベルで他の業界と比べてかなり遅れて改善してきている状況である。

裁判システムの効率の悪さ、遅さを指摘する声は、東京に本社や支社のある大企業に限らない。相応の時間をかけて感情を解きほぐして、解決のタイミングを待つ必要のあるような話ではないのであれば、集中的に取り組む労力や費用をかけても早く解決したいということも多い。

裁判所に持ち込む案件に関しては、時間を掛けて双方当事者や代理人弁護士において検討し、また裁判所側も提出された記録をじっくり吟味し、双方の言い分に提出し漏らしがないように配慮して進めているため、このようになっている面もあるだろう。しかし、紛争の当事者双方が早期解決を望んでいるような案件において、システムや専門家がそれに対応できないがために紛争解決機関としての役割を十分果たせていないとすれば大問題だろう。

ビジネスでの電子メールの誤送信にも通じる問題だが、安全性や秘密性との兼ね合いはある。しかし、「課題が多いからやらない」というのではなく、早く課題に向き合って取り組んでいかなければならないのではないか。

弁護士など専門家の仕事の仕方への影響も大きく、積極的に対応しようとする人、あえてしない人、消極的に動く人に分かれそうではあるので、弁護士一丸となって推進することは簡単ではないだろうが、弁護士も動きを起こしていきたいところである。

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山岸 陽平
金沢法律事務所(石川県金沢市)を主宰する弁護士

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